芸術科学会論文誌 第3巻論文賞

Award of the journal of the Society For Art and Science Volume.3

芸術科学会論文誌では、第2巻第4号、第3巻第1,2,3号に掲載された論文の中から、以下の3論文を「論文賞」に選定いたしました。 芸術科学会では会員を対象に、第2巻第4号、第3巻第1,2,3号に掲載された26本の中から、論文賞候補論文の投票を受け付けました。 この投票結果と、論文賞選定委員による投票結果を集計し、論文賞選定委員による厳正な審議の結果として、以下の3論文を選定いたしました。 今回の受賞論文は、エンタテインメントという広く確立された分野において非常に造詣の深い解説を展開された解説論文、携帯電話という新しいデバイスのための新しいコンテンツ技術の論文、そしてDiVA展でも大好評を博した インタラクティブ芸術作品に関する論文、というきわめて幅広い組み合わせとなりました。 芸術科学会論文誌の論文賞の歴史の中でも、特に「芸術科学会らしさ」を強く打ち出すことのできた、誇らしい論文賞ではないか、と自負できます。 受賞された著者の皆様、大変おめでとうございます。 今後のいっそうのご活躍を期待しております。


Vol. 3, No. 1, pp. 22-34


エンタテイメントシステム
Entertainment Systems

白井 暁彦
Akihiko SHIRAI

2003/10/15 受付 (Submitted)
2004/01/22 採録 (Accepted)
カバーシート (Coversheet)
PDF論文(Paper) (1.06MB)
参考リンク(LINK of Author's Web site)


受賞のコメント:

本論文は、小生の博士論文の序章部分を芸術科学会解説論文特集にあわせ、再編執筆した論文である。通常、解説論文とは他者の執筆した論文引用し、その位置付けと理解を理知的にまとめるものであるが、本論文ではあえて 過去に自らが発表した数作品を実践として引用し、客観的に分析検証するスタイルをとることで、従来あいまいにされることが多かった芸術とエンタテイメントとの境界や、仮説であるエンタテイメントシステムの成立要 素を明らかにすること挑んだ論文となった。言語学的考察や新しい作品について、今後より専門的に、深く言及されるべきであると考えている。 論文賞受賞という誉を受けたが、より建設的に問題提起され、本研究分野における良質な論文を生み出すきっかけとなれば幸いである。


Vol. 3, No. 2, pp. 149-158


携帯電話を利用したコミックの閲覧システムとその評価
A System for Reading Comics on Cellular Phones and its Evaluation

山田 雅之, 鈴木 茂樹, ラフマット・ブディアルト, 遠藤 守, 宮崎 慎也
Masashi YAMADA, Shigeki SUZUKI, Rahmat BUDIARTO, Mamoru ENDOH, Shinya MIYAZAKI

2003/12/09 受付 (Submitted)
2004/01/13 採録 (Accepted)
カバーシート (Coversheet)
PDF論文(Paper) (288KB)


受賞のコメント:

携帯電話は我々の最も身近な情報端末になりつつありますが、小型ゆえに表示デバイスとしての性能が低く、情報コンテンツを快適に閲覧するためには情報処理技術の投入が必要不可欠です。本研究では、知識処理および画像処理技術を用いて、書籍メディアであるコミックを携帯電話の小型のディスプレイ上で閲覧可能にする具体的な方法を提案しました。今後、皆様の携帯電話向けコンテンツの制作において、今回の成果を多少なりとも参考にしていただければ幸いです。


Vol. 3, No. 3, pp. 185-188


through the looking glass (ショートペーパー)
through the looking glass

筧 康明,   苗村 健 
Yasuaki KAKEHI, Takeshi NAEMURA

2004/04/15 受付 (Submitted)
2004/05/09 採録(Accepted)
カバーシート (Coversheet)
PDF論文 (Paper) (672KB)
コンテンツ動画ファイル (MPEG file)


受賞のコメント:

本論文でまとめたthrough the looking glassは、我々の開発した方向依存ディスプレイという技術基盤の上で、コンセプトやインタラクションデザインという表現の部分でも斬新な提案ができるようにと、技術・芸術の両面に力を入れて製作されました。まだまだ課題や可能性は残されておりますが、今回このような賞をいただいたことが、今後の活動に向けて大きな励みとなります。ありがとうございました。

論文賞選定委員

伊藤貴之(論文委員長), 牧野光則(論文副委員長), 菊池司(論文副委員長), 大野義夫, 高田明典, 永江孝規, 春口巌


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Last updated: 2004/12/20